米雇用統計はネガティブサプライズ!米利上げ観測は後退か!
金曜日のドル円は序盤、菅副総理兼財務相の円安容認発言を受けた円売りや米雇用統計への期待から
ドル買いが強まったNY市場での流れが継続されジリ高の展開。しかし、米雇用統計を控えていること
もあり後続の買いは見られず、前日の菅副総理兼財務相の円を巡る発言について鳩山首相が「為替に
ついて政府が言及するべきではない」との認識を示すとドル円は膠着状態となった。注目された米雇
用統計は、失業率:10.0%(予想 10.0%)、非農業部門雇用者数変化:-8.5万人(予想 0.0人)と
なった。特に後者の非農業部門雇用者数変化に関しては、一部でプラス予想が根強かった分、失望的
な結果となり、ドル円は指標発表直前に93.50円近くまで上昇していたものの一瞬で1円以上急落する
と安値を92.286円まで拡大。その後は一転してドル買いが強まるなど乱高下。また、米卸売在庫がか
なり強い結果となったことも好感され93.20円付近まで急反発したが、結局92.691円で取引を終えた。
ユーロ円は序盤、欧州圏失業率などの重要な指標が発表されることや、米雇用統計を控えて様子見ム
ードが強まる中、方向感の乏しい動きとなったが、ユーロ圏の失業率は予想の9.9%を上回る(悪化)
10.0%となったことや、独の鉱工業生産は前月比・前年比ともに予想よりも弱い結果にユーロ円は、
徐々に下値を切り下げる展開。その後の雇用統計も非農業部門雇用者数変化が事前予想から大幅に悪
化すると一時132.306円まで急落した。引けにかけて反発したが終値は133.547円となった。
今週の展望
さて今週のドル円だが、市場の注目を集めた12月の米雇用統計は、非農業部門就業者数が前月比8万
5,000人減となった。発表直後、失望売りが優勢となり1円強の下落をしたものの、雇用者数の前月分が
-1.1万人から+0.4万人へ上方修正されるなどマーケットが思ったほど悲観的にならなかったため、
発表前の水準まで反発する動きとなった。今回はネガティブサプライズにも関わらず、ドルの下げが
限定的だったことから米経済の回復に対する期待は薄れていないとの見方も出来るが、今回の内容で
は早期の米利上げ観測を明らかに後退させるものとなっており、今週のドル円にとって重石となりそ
うだ。これまで続いたドル買いの流れが、米雇用統計の結果を受けて腰折れする可能性も考えられ、
ドル円は再び90円を割り込んでいく可能性も否定できない。今週の指標は週央から週末に集中する米
12月ベージュブック、米12月小売売上高や米1月NY連銀製造業景況指数、米12月鉱工業生産、米12月ミ
シガン大学消費者信頼感指数に注目。こうした指標をこなして、なお米早期利上げ観測が盛り上がる
のであれば、95円を目指す展開もあるかもしれない。
ユーロ円は、菅副総理兼財務相が円安誘導発言を繰り返すとともに日銀に追加金融緩和を要請する可能
性もあり、対円では底堅い展開が続くとみることも出来るものの、ユーロ圏の失業率は10%台に乗せ、
1998年8月以来となる低水準。ビーニスマギECB専務理事は「今後数カ月、失業率は上昇し続けると予想」
と発言しており、今後もユーロ圏の雇用状況はさらに悪化しそうだ。また、ギリシャなど欧州一部国の
信用不安も依然くすぶっており、ユーロ自体の買い材料は乏しく、地合いは決して良いとは言えない。
今週は欧州中央銀行(ECB)理事会が予定されており、欧州の信用問題に対してどのような対応をする
のか注目が集まるだろう。
ドル ・円 90.00- 95.00
ユーロ・円 128.00-135.00
ポンド・円 142.00-150.00
【今週の主な経済指標】
01/11
16:45(仏) 11月鉱工業生産
22:15(加) 12月住宅着工件数
22:30(加) 11月住宅建設許可件数
01/12
08:50(日) 11月国際収支/貿易収支
08:50(日) 11月国際収支/経常収支
09:30(豪) 11月住宅融資額
14:00(日) 12月景気ウォッチャー調査
16:00(独) 12月卸売物価指数
16:45(仏) 11月財政収支
18:30(英) 11月貿易収支
20:00(ランド)11月製造業生産
21:45(米) 週間チェーンストア売上高
22:30(米) 11月貿易収支
22:30(加) 11月貿易収支
22:55(米) 週間レッドブック大規模小売店売上高
01/13
16:45(仏) 12月消費者物価指数
19:00(ユーロ) 11月鉱工業生産
21:00(米) 週間住宅ローン借換申請指数
01/14
04:00(米) 米地区連銀経済報告
04:00(米) 12月財政収支
08:50(日) 11月機械受注
08:50(日) 12月企業物価指数
09:30(豪) 12月雇用統計/就業者数
09:30(豪) 12月雇用統計/失業率
16:00(独) 12月消費者物価指数
21:45(ユーロ) ECB理事会
22:30(ユーロ) ECB記者会見
22:30(米) 12月輸出物価指数
22:30(米) 12月輸入物価指数
22:30(米) 週間新規失業保険申請件数
22:30(米) 12月小売売上高コア指数
22:30(米) 12月小売売上高
01/15
17:15(スイス) 12月生産者輸入物価指数
19:00(ユーロ) 12月消費者物価指数
19:00(ユーロ) 11月貿易収支
22:30(米) 12月消費者物価コア指数
22:30(米) 12月消費者物価指数
22:30(米) 1月NY州製造業景気指数
22:30(米) 12月実質所得
23:15(米) 12月設備稼働率
23:15(米) 12月鉱工業生産
≪2010年1月8日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ベア」
ユーロ・ドル :「ブル」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
市場では菅直人新財務相を「円安論者」と見る向きが多く、「ブル」が僅かながら優勢となった。
しかし、財務相の異例の発言も、鳩山首相が否定的な認識を示したことで今後のトーンダウンが予
想され、期待外れの雇用統計で米国の超低金利政策の長期化観測も強まっており、ドルが買いづら
いのも事実。ドル円は方向感が出にくい展開となろうか。
ポンド円は「ブル」
米雇用統計を巡って乱高下する中、148円前半の水準では買い意欲が旺盛となり「ブル」。しかし英
国債を「AAA」から格下げ懸念など、依然として英国経済の不透明感が拭えない中では積極的にポン
ドを買えるような動きは想定しにくい。また、英国の総選挙時期を巡る思惑や労働党内での「ブラウ
ン降ろし」の動きもあり、政治・経済の両面から、弱気局面入りする可能性も捨て切れないだろう。
今週は住宅指標を皮切りに鉱工業・製造業生産などの発表が控えており、英国経済への不透明感払拭
への試金石となるかに注目しておきたい。
豪ドル円は「ブル」
米の弱い米雇用指標を受けて広がったドル売りの流れや、強い豪小売売上高を好感し、参加者は「ブル」
を継続となった。今週は14日の豪雇用統計に注目したい。同統計は予想外に強い結果がここ数ヶ月に渡
って続いており、今回も豪ドルにとってサポート材料となる可能性もあるだろう。しかし、RBAの金融政
策に対する姿勢から更なる利上げとは考えにくく、バイアスの傾けすぎには注意が必要となろう。
ドル買いが強まったNY市場での流れが継続されジリ高の展開。しかし、米雇用統計を控えていること
もあり後続の買いは見られず、前日の菅副総理兼財務相の円を巡る発言について鳩山首相が「為替に
ついて政府が言及するべきではない」との認識を示すとドル円は膠着状態となった。注目された米雇
用統計は、失業率:10.0%(予想 10.0%)、非農業部門雇用者数変化:-8.5万人(予想 0.0人)と
なった。特に後者の非農業部門雇用者数変化に関しては、一部でプラス予想が根強かった分、失望的
な結果となり、ドル円は指標発表直前に93.50円近くまで上昇していたものの一瞬で1円以上急落する
と安値を92.286円まで拡大。その後は一転してドル買いが強まるなど乱高下。また、米卸売在庫がか
なり強い結果となったことも好感され93.20円付近まで急反発したが、結局92.691円で取引を終えた。
ユーロ円は序盤、欧州圏失業率などの重要な指標が発表されることや、米雇用統計を控えて様子見ム
ードが強まる中、方向感の乏しい動きとなったが、ユーロ圏の失業率は予想の9.9%を上回る(悪化)
10.0%となったことや、独の鉱工業生産は前月比・前年比ともに予想よりも弱い結果にユーロ円は、
徐々に下値を切り下げる展開。その後の雇用統計も非農業部門雇用者数変化が事前予想から大幅に悪
化すると一時132.306円まで急落した。引けにかけて反発したが終値は133.547円となった。
今週の展望
さて今週のドル円だが、市場の注目を集めた12月の米雇用統計は、非農業部門就業者数が前月比8万
5,000人減となった。発表直後、失望売りが優勢となり1円強の下落をしたものの、雇用者数の前月分が
-1.1万人から+0.4万人へ上方修正されるなどマーケットが思ったほど悲観的にならなかったため、
発表前の水準まで反発する動きとなった。今回はネガティブサプライズにも関わらず、ドルの下げが
限定的だったことから米経済の回復に対する期待は薄れていないとの見方も出来るが、今回の内容で
は早期の米利上げ観測を明らかに後退させるものとなっており、今週のドル円にとって重石となりそ
うだ。これまで続いたドル買いの流れが、米雇用統計の結果を受けて腰折れする可能性も考えられ、
ドル円は再び90円を割り込んでいく可能性も否定できない。今週の指標は週央から週末に集中する米
12月ベージュブック、米12月小売売上高や米1月NY連銀製造業景況指数、米12月鉱工業生産、米12月ミ
シガン大学消費者信頼感指数に注目。こうした指標をこなして、なお米早期利上げ観測が盛り上がる
のであれば、95円を目指す展開もあるかもしれない。
ユーロ円は、菅副総理兼財務相が円安誘導発言を繰り返すとともに日銀に追加金融緩和を要請する可能
性もあり、対円では底堅い展開が続くとみることも出来るものの、ユーロ圏の失業率は10%台に乗せ、
1998年8月以来となる低水準。ビーニスマギECB専務理事は「今後数カ月、失業率は上昇し続けると予想」
と発言しており、今後もユーロ圏の雇用状況はさらに悪化しそうだ。また、ギリシャなど欧州一部国の
信用不安も依然くすぶっており、ユーロ自体の買い材料は乏しく、地合いは決して良いとは言えない。
今週は欧州中央銀行(ECB)理事会が予定されており、欧州の信用問題に対してどのような対応をする
のか注目が集まるだろう。
ドル ・円 90.00- 95.00
ユーロ・円 128.00-135.00
ポンド・円 142.00-150.00
【今週の主な経済指標】
01/11
16:45(仏) 11月鉱工業生産
22:15(加) 12月住宅着工件数
22:30(加) 11月住宅建設許可件数
01/12
08:50(日) 11月国際収支/貿易収支
08:50(日) 11月国際収支/経常収支
09:30(豪) 11月住宅融資額
14:00(日) 12月景気ウォッチャー調査
16:00(独) 12月卸売物価指数
16:45(仏) 11月財政収支
18:30(英) 11月貿易収支
20:00(ランド)11月製造業生産
21:45(米) 週間チェーンストア売上高
22:30(米) 11月貿易収支
22:30(加) 11月貿易収支
22:55(米) 週間レッドブック大規模小売店売上高
01/13
16:45(仏) 12月消費者物価指数
19:00(ユーロ) 11月鉱工業生産
21:00(米) 週間住宅ローン借換申請指数
01/14
04:00(米) 米地区連銀経済報告
04:00(米) 12月財政収支
08:50(日) 11月機械受注
08:50(日) 12月企業物価指数
09:30(豪) 12月雇用統計/就業者数
09:30(豪) 12月雇用統計/失業率
16:00(独) 12月消費者物価指数
21:45(ユーロ) ECB理事会
22:30(ユーロ) ECB記者会見
22:30(米) 12月輸出物価指数
22:30(米) 12月輸入物価指数
22:30(米) 週間新規失業保険申請件数
22:30(米) 12月小売売上高コア指数
22:30(米) 12月小売売上高
01/15
17:15(スイス) 12月生産者輸入物価指数
19:00(ユーロ) 12月消費者物価指数
19:00(ユーロ) 11月貿易収支
22:30(米) 12月消費者物価コア指数
22:30(米) 12月消費者物価指数
22:30(米) 1月NY州製造業景気指数
22:30(米) 12月実質所得
23:15(米) 12月設備稼働率
23:15(米) 12月鉱工業生産
≪2010年1月8日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ベア」
ユーロ・ドル :「ブル」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
市場では菅直人新財務相を「円安論者」と見る向きが多く、「ブル」が僅かながら優勢となった。
しかし、財務相の異例の発言も、鳩山首相が否定的な認識を示したことで今後のトーンダウンが予
想され、期待外れの雇用統計で米国の超低金利政策の長期化観測も強まっており、ドルが買いづら
いのも事実。ドル円は方向感が出にくい展開となろうか。
ポンド円は「ブル」
米雇用統計を巡って乱高下する中、148円前半の水準では買い意欲が旺盛となり「ブル」。しかし英
国債を「AAA」から格下げ懸念など、依然として英国経済の不透明感が拭えない中では積極的にポン
ドを買えるような動きは想定しにくい。また、英国の総選挙時期を巡る思惑や労働党内での「ブラウ
ン降ろし」の動きもあり、政治・経済の両面から、弱気局面入りする可能性も捨て切れないだろう。
今週は住宅指標を皮切りに鉱工業・製造業生産などの発表が控えており、英国経済への不透明感払拭
への試金石となるかに注目しておきたい。
豪ドル円は「ブル」
米の弱い米雇用指標を受けて広がったドル売りの流れや、強い豪小売売上高を好感し、参加者は「ブル」
を継続となった。今週は14日の豪雇用統計に注目したい。同統計は予想外に強い結果がここ数ヶ月に渡
って続いており、今回も豪ドルにとってサポート材料となる可能性もあるだろう。しかし、RBAの金融政
策に対する姿勢から更なる利上げとは考えにくく、バイアスの傾けすぎには注意が必要となろう。