FXレポート

ドバイ・スペインなどの信用不安が相場を圧迫

昨日のドル円は、日本時間夕刻ドバイの不動産開発会社ナヒールの上期の負債が前期比+7.2%の約200億ドルとの報道を受けて信用不安が拡大、リスク回避の円買いが強まり87.364円まで下落した。一方、ドバイ絡みの債権を大量に抱えている金融機関が多いとみられる英国においては、一段と下げ足を早め、ポンド円は141.996円まで下落した。

ロンドン市場序盤は、円買いの流れを引き継ぎ、クロス円は次々と安値を更新した。しかし、リスク回避の動きが一巡し、ドバイ株や欧州各国株が下げ渋ると、対円通貨は軒並み反発となった。ドル円は昨日高値からの下落に対し半値戻し(88.029円)を達成、その後も下げ渋る展開となり87.892円で取引を終えた。

また、ポンド円において注目されていたダーリング英財務相による予算前報告では、銀行収益に超過利潤課税を課さないことを決定したことを好感し、昨日高値に迫る反応を見せたが、ボーナスに対する厳しい課税が発表されると、すぐに上ぶれ前の水準に戻す等、右往左往する結果となり、最終的には上値を抑えられ、142.928円で取引を終えた。

一方、ユーロ円は投資格付け会社S&Pがスペインの格付けアウトルックをネガティブへ引き下げ、格付け自体が下方修正される可能性を示すと、ユーロ売りが優勢となり、129.424円で取引を終えた。


さて本日のドル円だが、バンク・オブアメリカがTARP(不良資産救済プログラム)による公的資金450億ドルを全額返済した事や、米シティグループが、株式売却によるTARP資金の返済を計画しているという、明るい材料にも市場は反応薄。ドバイショックに加え、ギリシャ・スペインの格下げ等、信用不安が拭い切れないため、引き続きリスク回避の円買いが誘発されやすい状況となっている。また、国内輸出企業のレパトリに伴う円買いも拍車をかけているため、下向きの流れが継続すると考えられる。

ポンド円はドバイ株の動きに反応しやすい傾向になりつつあり、ロンドン市場序盤で急変動の可能性もあり注意が必要。また、本日発表予定のBOE政策金利は据え置き予想となっているが、キング総裁等、要人発言による急変動も考えられ、予断は許されない状況となっている。



[本日の予想レンジ]
 ドル ・円  87.00-88.70
 ユーロ・円 128.90-130.50
 ポンド・円 141.00-144.40

【本日の主な経済指標】
12/10
08:50(日) 機械受注
08:50(日) 企業物価指数
09:30(豪) 就業者数(増減)
09:30(豪) 失業率
17:30(ス) 政策金利発表
21:00(英) 政策金利発表
22:30(加) 貿易収支
22:30(米) 貿易収支
22:30(米) 新規失業保険申請件数
04:00(米) 財政収支

≪2009年12月9日クローズ時点≫
ドル・円    :「ブル」
ユーロ・円   :「ブル」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円   :「ブル」
NZドル・円   :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
ガイトナー米財務長官が不良債権救済プログラムの延長を表明した事を受け、11/27安値(84.810円)
から12/4高値(90.769円)までの上昇に対する半値押し水準で下げ渋っている。一時的な下落はあって
も経済・金融政策の結果、中長期的には相場は回復するとの見方から参加者は「ブル」を継続。目先
の急変動にはとらわれず、各国の政策・要人発言に期待したい。

ユーロ円は「ブル」
終値ベースで見た場合、11/27・30と同水準(129.40円近辺)で下げ止まっており、下値サポートが
あるとの見方から参加者は「ブル」を選択。財政悪化を指摘されていたギリシャの財務相がデフォル
トはしないだろうと発言した事も反発期待を誘っている。ただし、欧州域内においてギリシャ・スペ
イン以外の他国へも信用不安が飛び火した場合、ポンド以上の売り圧力にさらされかねない。

ポンド円は「ブル」
米WSJ紙が「格付け機関のムーディーズが米国や英国がトリプルAの格付けを維持するためには、膨ら
む財政赤字を削減する必要があると指摘」と報じたことで、英国の財政赤字への懸念が高まっている。
悪材料が多数表面化し、今週に入ってから売り一辺倒であったものの、売り一巡後の相場反発に期待
し、参加者は「ブル」を選択。しかし、リスク回避の動きとなった場合には、他通貨以上の下げ幅
拡大に注意が必要か。



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