FXレポート

ドバイショック和らぐも、円高ドル安傾向は続くか

昨日のドル円は、日本政府が新たな経済対策関連補正予算について声明を公表したほか、藤井裕久財務相の発言から日銀による追加金融緩和観測が高まったことでドル買いの流れとなった。その後、日銀が臨時の金融政策決定会合開催が決定し、ドル円は一時87.536円まで上昇。ユーロ円も追加金融緩和観測の高まりから大きく買われる展開となり、一時131.274円まで上昇した。しかしこの上昇も束の間、一段の金融緩和が期待されていた日銀の金融政策決定会合で無担保コール翌日物金利の誘導目標が0.10%で据え置かれるとの決定が失望を誘い、ドル円は86.671円、ユーロ円は130.058円まで押し戻される展開となった。

ロンドン市場の時間帯に入ると、ドバイとアブダビが債務危機に協力する点で合意したとの報道からドバイ債務危機の懸念が後退したため欧州株が大幅反発。欧州通貨が買い戻される展開となり、ユーロ円は131円台、ポンド円は144円台を回復。その後のニューヨーク市場でも好調なNYダウの推移やNY金先物相場が一時1204ドルと史上最高値を更新したことが支えとなり、ユーロ円は130.841円、ポンド円は144.108円と円安水準で取引を終えた。

一方のドル円は10月の米住宅販売保留指数市場予想平均を上回ったものの、ISM製造業景況指数は市場予測を下回る状況と強弱まちまちであり、87円台を回復する場面があったものの対ユーロでのドル売りに押される形で上値は重く、86.743円と小幅な上昇で取引を終えた。


さて、本日のドル円相場であるが、昨日の日銀臨時金融政策決定会合の政策金利据え置きに対する失望感から現在のドル安円高基調が継続する状況となっている。また、米国の労働市場の不安定さが指摘されている中、今週末発表予定の米雇用統計を確かめるまでは、ドル円は引き続き上値の重い展開を強いられると考えられる。なお、本日は雇用統計の前哨戦となるADP雇用統計の発表が予定されており、ネガティブな内容となれば、再び85円台を目指す可能性も否定できないと考えられる。

一方、ドバイ債務危機報道に強く左右される状況の欧州通貨であるが、昨日は懸念後退から株高・欧州通貨の買戻しの状況になっている。但し、急激な欧州通貨売りに対する一時的な反発とも考えられ、上昇基調と捉えるには時期尚早であろうか。ユーロ圏は失業率は横ばいとなっており、足元の状況は改善しつつあるとは言いがたい。本日も同報道や株式相場の動向を見据えながらの展開となろうが、慎重な判断が求められそうだ。



[本日の予想レンジ]
 ドル ・円  84.50-87.80
 ユーロ・円 127.50-133.00
 ポンド・円 139.50-146.00 

【本日の主な経済指標】
08:50 (日) マネタリーベース[前年同月比]
19:00 (欧) 卸売物価指数(PPI)[前月比]
19:00 (欧) 卸売物価指数(PPI)[前年同月比]
21:00 (米) MBA住宅ローン申請指数[前週比]
21:30 (米) チャレンジャー人員削減数[前年比]
22:15 (米) ADP雇用統計[前月比]


さて、マーケット参加者のポジションは......

 ≪2009年12月1日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ブル」
 ユーロ・ドル :「ベア」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

 ※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

 ドル円は「ブル」
 クロス円全般が大きく反発しているなか、ドル円の戻りに勢いが感じられない。昨日の日銀臨時金融政策
 決定会合に対する失望感もドル円の上値を押さえ込んでいる一要因であろうか。依然として参加者は「ブ
 ル」を選択しているものの、米雇用情勢悪化傾向が続けばドル売りが強まる可能性がありそうだ。本日の
 ADP雇用統計に着目したい。 
 
 ユーロ円は「ブル」
 株高・商品価格高騰が下支えとなり、再び130円台を回復。ドバイ債務危機懸念の後退からもユーロの買
 い戻しが進んでいるようだ。参加者は素直に「ブル」を選択しているものの、急激な欧州通貨売りに対す
 る一時的な反発との可能性も捨てきれず、下落リスクにも十分に対応していきたい。
 
 ポンド円は「ブル」
 ドバイ債務危機の懸念が後退したことから2円以上の上昇となった。参加者は強気の「ブル」を選択して
 いる。しかし、英国11月の製造業景況指数(PMI)は市場予測を下回っており、足元の景況感に改善の兆
 しは依然として見られていない点は念頭に入れておきたい。本日もドバイ関連の話題には要注意か。

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