ドル円10カ月ぶり87円台へ!年初来最安値を窺う展開か!?
昨日のドル円は、FOMC議事録で記された「ドルの下落は秩序だったものだ」との一文が、FRBは事実上ドル安を容認していると解釈され、序盤から軟調となり、欧州株が下落するとリスク回避の円高や、ドル円のストップを巻き込み一時87.177円まで下落。その後、感謝祭の影響により、木・金曜の米経済指標が全て前倒しで発表され、結果は好悪混在ながらも、米新築住宅販売件数は43万件と大きく上昇、また、失業保険申請件数にも改善が見られたことで、小幅に反発するも、米7年債入札では最高利回りが2.835%という結果に。これを受け市場では10年債などの長期債が買われ利回り低下からドル売りを誘い87.368円で取引を終えた。
ユーロ円は序盤、FOMCのドル安容認姿勢や米国の低金利長期化観測を背景としたドル売りが優勢となったことや、NY金先物が年初来高値を更新する展開となったことも追い風となり、132.668円まで上昇する場面もあったが、独GFK消費者信頼感調査が3.7と予想の4.0を下回ったことが重石となりやや下押しとなり、132.207円で引けた。
さて本日のドル円だが、米感謝祭休暇を控えて積極的な売買が手控えられる中、87円を割れるか注目される。FOMC議事録の「ドル安容認」や米長期金利の低下を背景に、市場関係者からは早くも月末までに85円と言った声も囁かれおり、87円割れとなればストップを巻き込み下値余地が拡大する可能性も否定できない。しかし、懸念された雇用に関しては、明るい兆しも見えてきた。特に目を引くのが新規失業保険申請件数の好結果だ。今回 46.6万件と事前予想を割り込み、2008年9月第2週以来の好数値を記録した。50万件の大台を割り込んだのは今年 1月以来の事。今回の減少により、4週間移動平均も49.65万件へと低下。この4週間移動平均が50万件を割り込んだのは2008年11月以来となる。今回の結果は次回雇用統計に希望をもたせるには十分の数値だ。また、10月終盤から下げ基調が続いていた中、下方向にややオーバーシュートと判断することもでき、一旦底打ちとなる事も考えられる。
ユーロ円は、日米の低金利長期化が濃厚となり、ドルも円も買いづらいムードとなる中、ECBが金融正常化に向けて地ならしを始めていることが好感されており、ユーロが混戦を抜け出す可能性が出てきた。株高・商品高が継続し、リスク選好の波に乗れれば、再び133円台をうかがう展開もありえるだろう。
[本日の予想レンジ]
ドル ・円 86.50-88.00
ユーロ・円 131.50-134.00
ポンド・円 144.00-146.00
【本日の主な経済指標】
08:50(日) 金融政策決定会合議事要旨
09:30(豪) 四半期民間設備投資
11:00(ニ) NBNZ企業信頼感
18:00(欧) マネーサプライM3
さて、マーケット参加者のポジションは......
≪2009年11月25日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ブル」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
米国の低金利政策の長期化観測や、FOMCのドル安容認発言を背景にドルを売って円を買う動きが強ま
り、心理的節目となる87.50円を下抜けすると、1/21に記録した年初来安値である1ドル=87.095円を
意識した展開となり、参加者の買いが殺到し「ブル」。本日は米国が感謝祭で休場となることから、
ポジション調整により弱含みが続くことも考えられ、年初来安値を更新する展開となれば、 下値を
拡大することも想定されるため、警戒感は怠らずに臨みたい。
ポンド円は「ブル」
英GDPは事前に「今回のGDP改定値は予想よりも良い数字になるのでは?」との噂があったため、予想
通りの結果に発表後は失望売りが目立ち下落。参加者は引き続き安値では「強気」のスタンスを崩し
ていないが、英国の景気回復の遅れや財政赤字の深刻化や英中銀のハト派的スタンスやポンド安容認
姿勢など悪材料には事欠かず、慎重姿勢を維持するべきだろう。
豪ドル円は「ブル」
RBA(豪準備銀)は「経済は新たな成長段階に入った、数年続く見通し」との見解を述べ、豪経済の成
長は今後も続く見通しを示したことを好感し、参加者は「ブル」継続。また、バッテリーノRBA副総裁
が「最新の情報は第4四半期に世界経済の成長が持続することを示唆」とのコメントも豪経済の楽観的
な見通しを後押ししている。加えて、金価格が上昇し史上最高値を更新していることも、資源国通貨と
しての側面を持つ豪ドルをサポートしている。