バーナンキFRB議長は依然慎重姿勢!
昨日のドル円は序盤、動意に欠ける動きながらも日経平均やNYダウ先物の上昇を背景にリスク許容度が改善するとの見方から円売りが散見し東京市場では一時80.327円まで上昇した。しかし、欧州勢参入後は中国為替当局者の話として「ドルは他の主要通貨に対して下落を続けるだろう」「ドル資産の過剰な保有を警告」などと伝わり、ドルストレートが軟調に推移すると80.15円付近まで小幅に反落。NY市場では主要な米経済指標の発表がないうえ、引けにかけて予定されているバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長の講演に注目が集まったため、こう着状態が続いた。注目されたバーナンキ議長の講演だが「緩和的な金融政策は依然として必要」「持続的な雇用創出なければ、自立的な回復困難」と述べたことで米国10年債利回りは節目の3%を再び割り込むと一時79.973円まで下落した。ただ、同議長が「景気回復ペースは下半期に上向く可能性が高い」と述べたことが伝わると下押しの動きも限ぎられ、80.051円で取引を終えた。
ユーロ円は、オセアニア市場でトリシェECB総裁が「ギリシャ債のロールオーバー(借り換え)を示唆」とのニュースに海外勢が反応する形で瞬間的に上値を伸ばし117円台を示現。その後も英5月BRC既存店売上高が市場予想を大きく下回る結果となったことで、ユーロが対ポンドで上昇したことも追い風となり堅調に推移した。欧州勢参加後も欧州連合(EU)統計局が発表した4月ユーロ圏小売売上高が市場予想を上回ったほか、NYダウ上昇に伴うユーロ買いが優勢となって117.50円付近でしっかりとした値動きが続いた。NY市場に移っても堅調な地合に変化はなく、ギリシャの債務問題をめぐる過度の懸念が緩和していることや、欧州中央銀行(ECB)の利上げ観測が引き続き材料視されると前日比+0.905円の117.618円まで上昇し取引を終えた。
今日の展開
オバマ米大統領は先週金曜日に発表された5月の米雇用統計を受け「景気回復は雇用を早く生み出すほど十分ではない」と発言するなど脆弱な米ファンダメンタルが本日も足枷となろう。また、日本時間の早朝にはバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が「緩和的な金融政策は依然として必要」との見方を示したことで量的緩和第3弾への思惑が台頭するなど市場のセンチメントは大きく後退している。対円でも2日連続で80円割れとなっているものの、急激な円高ではないため、政府・日銀としても円売り介入はやりづらい状況にあるだろう。さらに、菅直人首相に対する早期退陣圧力の高まりから、早ければ7月上旬にも退陣するとの見通しを示すなか、大連立政権成立が現実味を帯びてくれば、円高が加速する可能性も否めない。下値目処として短期的にはボリンジャーバンド-1σの差し掛かる79.75円だが、仮にこの水準を下抜けた場合は、5月の連休中につけた79.50円へトライする可能性が高まろう。また、同水準まで下落した場合は、投機筋による仕掛け的な円買いが入る可能性があるため予断を許さない状況が続きそうだ。
ユーロは明日のECB理事会で、政策金利は1.25%に据え置かれる見通しではあるが、声明ではインフレに「強い警戒」を示し次回7月会合での利上げを予告するのでは?との見方がコンセンサスとなっており、バイアスは強気となろう。また、対ドルでみても米国の主要マクロ指標が相次ぎ悪化する一方でユーロはギリシャの債務問題をめぐる過度の懸念が和らいでいることで同国への追加支援期待もサポートとなり、強含みの展開が予測される。ただ、チャートを見ると5月23日の安値1.39696ドルからほぼ一本調子で上げ続けているだけにいつ調整が入っても不思議ではなく、ここからの深追いは慎重に行きたい。対円では、5日移動平均線の差し掛かる117.50円がサポートとして機能すれば、次の目標は4月11日高値123.315円→5月16日安値113.408円のフィボナッチ半値戻し118.361円が視野に入ってこようか。
[今日の予想レンジ]
ドル ・円 79.50-81.00
ユーロ・円 116.50-118.50
ポンド・円 130.00-133.00
【今日の主な経済指標】
10:30 AUD 住宅ローン件数
14:00 JPY 景気ウオッチャー調査-現状判断
14:45 CHF 失業率 5月
15:00 DEM 経常収支 4月
15:00 DEM 貿易収支 4月
15:45 FRF 財政収支 4月
15:45 FRF 貿易収支 4月
18:00 EUR 四半期域内総生産(GDP、改定値)
19:00 DEM 鉱工業生産[前月比] 4月
20:00 USD MBA住宅ローン申請指数
21:15 CAD 住宅着工件数 5月
03:00 USD 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
06:00 NZD ニュージーランド準備銀行(RBNZ、NZ中央銀行)政策金利
≪2011年6月7日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ベア」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
中長期的に見て歴史的な安値圏であることもあり、この水準では割安感から
「強気」となっている。本日27:00には6月FOMCの討議材料となるベージュブ
ックが発表されるため、米国「出口戦略」の着手時期などを巡りドル円が上
昇のきっかけをつかむ可能性はあるだろう。上値目標としては日足一目均衡
雲下限と基準線が重なり80.90円付近、そしてすぐ上にある心理的節目とな
る81.00円を突破できるかが焦点となりそうだ。しかし、主要通貨に対する
ドルの値動きを示すドルインデックスは一時73.622と5月5日以来の安値をつ
けたほか、米格付け会社ムーディーズは米国債の格付けを引き下げ方向で見
直しなど不安材料は多く、上昇余地は限定的となるかも知れない。
ポンド円「ブル」
NYダウ先物や欧州株が堅調に推移したことで参加者のリスク志向が改善した
ほか、先週から約4円下落していることから買い意欲は強く「ブル」となっ
ている。しかし、英小売業組合(BRC)が発表した5月の小売売上高が予想外に
急減したことで個人消費の弱さが浮き彫りとなったほか、国際通貨基金(IMF
)は同国の実質国内総生産(GDP)見通しを下方修正する可能性もでてきており、
ダウンサイドリスクは高いだろう。また、本日から開催される英金融政策委
員会でも英政府による緊縮財政が景気回復の重しになっており、英中銀は緩
和スタンスを維持せざるを得ないとの見方から政策金利の据え置きを決定す
る公算が大きく、こちらも売りの材料となりそうだ。
豪ドル円「ブル」
注目された政策金利は現行の4.75%に据え置くことを決め市場の予想通りの
結果となったものの、声明では「現在の適度に引き締め的な金融政策が依然
適切と判断した」「今後の会合では、成長とインフレの見通しの進展を注意
深く査定し続ける予定だ」等の内容が明らかになった。ハト派的な内容とな
ったことから、一時失望売りが優勢となったが、依然として高い金利水準を
背景に参加者の買い意欲は旺盛で「ブル」に変化は見られなかった。ただ、
テクニカル面では日足一目均衡表の雲上限を割り込んでおり、目先も軟調な
展開が続きそうだ。大台85.00円が一旦の下値目途となるが、仮に下抜ける
ようであれば5月安値の84.308円も視野に入ってくるだろう。
ユーロ円は、オセアニア市場でトリシェECB総裁が「ギリシャ債のロールオーバー(借り換え)を示唆」とのニュースに海外勢が反応する形で瞬間的に上値を伸ばし117円台を示現。その後も英5月BRC既存店売上高が市場予想を大きく下回る結果となったことで、ユーロが対ポンドで上昇したことも追い風となり堅調に推移した。欧州勢参加後も欧州連合(EU)統計局が発表した4月ユーロ圏小売売上高が市場予想を上回ったほか、NYダウ上昇に伴うユーロ買いが優勢となって117.50円付近でしっかりとした値動きが続いた。NY市場に移っても堅調な地合に変化はなく、ギリシャの債務問題をめぐる過度の懸念が緩和していることや、欧州中央銀行(ECB)の利上げ観測が引き続き材料視されると前日比+0.905円の117.618円まで上昇し取引を終えた。
今日の展開
オバマ米大統領は先週金曜日に発表された5月の米雇用統計を受け「景気回復は雇用を早く生み出すほど十分ではない」と発言するなど脆弱な米ファンダメンタルが本日も足枷となろう。また、日本時間の早朝にはバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が「緩和的な金融政策は依然として必要」との見方を示したことで量的緩和第3弾への思惑が台頭するなど市場のセンチメントは大きく後退している。対円でも2日連続で80円割れとなっているものの、急激な円高ではないため、政府・日銀としても円売り介入はやりづらい状況にあるだろう。さらに、菅直人首相に対する早期退陣圧力の高まりから、早ければ7月上旬にも退陣するとの見通しを示すなか、大連立政権成立が現実味を帯びてくれば、円高が加速する可能性も否めない。下値目処として短期的にはボリンジャーバンド-1σの差し掛かる79.75円だが、仮にこの水準を下抜けた場合は、5月の連休中につけた79.50円へトライする可能性が高まろう。また、同水準まで下落した場合は、投機筋による仕掛け的な円買いが入る可能性があるため予断を許さない状況が続きそうだ。
ユーロは明日のECB理事会で、政策金利は1.25%に据え置かれる見通しではあるが、声明ではインフレに「強い警戒」を示し次回7月会合での利上げを予告するのでは?との見方がコンセンサスとなっており、バイアスは強気となろう。また、対ドルでみても米国の主要マクロ指標が相次ぎ悪化する一方でユーロはギリシャの債務問題をめぐる過度の懸念が和らいでいることで同国への追加支援期待もサポートとなり、強含みの展開が予測される。ただ、チャートを見ると5月23日の安値1.39696ドルからほぼ一本調子で上げ続けているだけにいつ調整が入っても不思議ではなく、ここからの深追いは慎重に行きたい。対円では、5日移動平均線の差し掛かる117.50円がサポートとして機能すれば、次の目標は4月11日高値123.315円→5月16日安値113.408円のフィボナッチ半値戻し118.361円が視野に入ってこようか。
[今日の予想レンジ]
ドル ・円 79.50-81.00
ユーロ・円 116.50-118.50
ポンド・円 130.00-133.00
【今日の主な経済指標】
10:30 AUD 住宅ローン件数
14:00 JPY 景気ウオッチャー調査-現状判断
14:45 CHF 失業率 5月
15:00 DEM 経常収支 4月
15:00 DEM 貿易収支 4月
15:45 FRF 財政収支 4月
15:45 FRF 貿易収支 4月
18:00 EUR 四半期域内総生産(GDP、改定値)
19:00 DEM 鉱工業生産[前月比] 4月
20:00 USD MBA住宅ローン申請指数
21:15 CAD 住宅着工件数 5月
03:00 USD 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
06:00 NZD ニュージーランド準備銀行(RBNZ、NZ中央銀行)政策金利
≪2011年6月7日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ベア」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
中長期的に見て歴史的な安値圏であることもあり、この水準では割安感から
「強気」となっている。本日27:00には6月FOMCの討議材料となるベージュブ
ックが発表されるため、米国「出口戦略」の着手時期などを巡りドル円が上
昇のきっかけをつかむ可能性はあるだろう。上値目標としては日足一目均衡
雲下限と基準線が重なり80.90円付近、そしてすぐ上にある心理的節目とな
る81.00円を突破できるかが焦点となりそうだ。しかし、主要通貨に対する
ドルの値動きを示すドルインデックスは一時73.622と5月5日以来の安値をつ
けたほか、米格付け会社ムーディーズは米国債の格付けを引き下げ方向で見
直しなど不安材料は多く、上昇余地は限定的となるかも知れない。
ポンド円「ブル」
NYダウ先物や欧州株が堅調に推移したことで参加者のリスク志向が改善した
ほか、先週から約4円下落していることから買い意欲は強く「ブル」となっ
ている。しかし、英小売業組合(BRC)が発表した5月の小売売上高が予想外に
急減したことで個人消費の弱さが浮き彫りとなったほか、国際通貨基金(IMF
)は同国の実質国内総生産(GDP)見通しを下方修正する可能性もでてきており、
ダウンサイドリスクは高いだろう。また、本日から開催される英金融政策委
員会でも英政府による緊縮財政が景気回復の重しになっており、英中銀は緩
和スタンスを維持せざるを得ないとの見方から政策金利の据え置きを決定す
る公算が大きく、こちらも売りの材料となりそうだ。
豪ドル円「ブル」
注目された政策金利は現行の4.75%に据え置くことを決め市場の予想通りの
結果となったものの、声明では「現在の適度に引き締め的な金融政策が依然
適切と判断した」「今後の会合では、成長とインフレの見通しの進展を注意
深く査定し続ける予定だ」等の内容が明らかになった。ハト派的な内容とな
ったことから、一時失望売りが優勢となったが、依然として高い金利水準を
背景に参加者の買い意欲は旺盛で「ブル」に変化は見られなかった。ただ、
テクニカル面では日足一目均衡表の雲上限を割り込んでおり、目先も軟調な
展開が続きそうだ。大台85.00円が一旦の下値目途となるが、仮に下抜ける
ようであれば5月安値の84.308円も視野に入ってくるだろう。