FXレポート

米景気回復が鈍化するなか、ADP全国雇用者数や如何に!

ドル円は序盤、東京市場の休場に伴う流動性の低下によって値が振れやすい状況の中、NYダウ先物が弱含んだことを受けて、散発的に円買いが入り軟調な展開となった。欧州勢参入後も、欧州株式やNYダウ先物の軟調推移を背景に円買いが強まったほか、米10年債利回りの低下に伴う売りも観測され80.695円まで続落した。NY市場では、米製造業新規受注が3.0%と市場予想の2.0%を上回ったことを受けて、リスク許容度が改善すると81.05円付近まで買い戻した。だが、買い一巡後に米10年債利回りが再び低下したことをきっかけに売買が交錯したため、81円を挟み揉み合いながら80.983円で取引を終えた。
        
ユーロ円は、コンスタンシオECB(欧州中銀)副総裁の発言で利上げ期待が後退しユーロ売りが強まったNY市場の流れを引き継ぎ、東京市場序盤に119.90円まで小幅に軟化。その後、東京市場が休場で取引者参加者数が減少しているなか、豪準備銀行(RBA)理事会が金利据え置きと発表されたものの、既に織込み済みであったことから影響は限定的で120円前後で小動きとなった。欧州市場に入ると、ユーロ圏卸売物価指数が前月比で予想を上回ったことを受けて一時ユーロ買いが強まったが、欧州株式の軟調推移を背景にNYダウ先物が下落すると、リスク回避の動きが優勢となり119.20円まで下落した。 NY市場では、強い米経済指標を背景にNYダウ平均が上昇すると、リスク回避姿勢が後退しユーロ買いが進み120.60円付近まで上昇した。引けにかけて、短期勢の利食い売りが散見され120.042円まで下落し取引を終えた。

                               今日の展開

ドル円は4日続落となった米10年債利回りに見られるように、市場の米緩和策長期化懸念は強く、現在のところは反発の材料が見いだせない状況となっている。そうしたなか、今夜21時15分にADP全国雇用者数が発表されるが、今週発表された米4月ISM製造業景況指数ではの構成項目のひとつである雇用指数が前月から低下を示している上、先週発表された新規失業保険申請件数の大幅な増加から積極的に買い進むことは困難かもしれない。また、テクニカル面でも81.20円付近にかかる5日間移動平均線も上値抵抗帯としての存在感を強めており、目先も軟調推移が続く可能性は否めず、短期的には日足一目均衡表の雲上限80.10円付近を試す展開を視野に入れる必要がありそうだ。
尚、アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン氏死亡の影響は今のところ限定的で、市場での反応は一過性となった可能性が高いだろう。

ユーロドルはギリシャの債務再編など欧州の財政問題は依然払拭されていないものの、欧州の追加利上げ観測が強い一方、米国は金融緩和の長期化が濃厚となっており、米欧の金融スタンス格差を背景に対ドルで引き続き上値を拡大する展開が予想される。また、テクニカル面でも上昇トレンドが確認でき、昨日は一時1.488ドルをつけるなど、まだ天井を打った様子は見て取れない。ただし、ユーロの上昇スピードに警戒感が燻っているほか、1.48台後半から1.490付近では日足ローソクに微妙な上ヒゲが出ており、ボリンジャーバンド+2σのさしかかる1.50ドルから1.51ドルまでは上値余地を残しているものの、反落警戒は常に持ち続けておきたい。一方、対円も日欧の金融政策スタンス格差を背景としたユーロ買いの流れは変わらないと考えられるが、明日のECB理事会ででトリシェECB総裁が利上げを急がないとしたスタンスを示す可能性もあり一本調子には買い進みづらいだろうか。

[今日の予想レンジ]
ドル ・円   80.00-82.00
ユーロ・円 119.00-121.00
ポンド・円 132.00-134.00

【今日の主な経済指標】
15:00 GBP  ネーションワイド住宅価格
17:00 EUR  サービス部門購買担当者景気指数
17:30 GBP  消費者信用残高
17:30 GBP  マネーサプライ
18:00 EUR  小売売上高
20:00 USD  MBA住宅ローン申請指数
20:30 USD  チャレンジャー人員削減数
21:15 USD  ADP雇用統計
23:00 USD  ISM非製造業景況指数

≪2011年5月3日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ベア」
 ユーロ・ドル :「ベア」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
一時80.695円と約一ヶ月ぶりとなる安値水準を示現し、バーゲン・ハント的な買いや、下値では介入警戒感も意識され「強気」スタンス継続となった。しかし、足元の円高についてはドル安によるものであることから当局が介入を正当化するほどではないと考えられるため、過度の介入期待はできないだろう。


ポンド円「ブル」
休場明けとなったロンドン市場だが、英製造業購買担当者景気指数の結果が市場予想を下回ったことを背景に利上げ期待感が後退しポンド売りが強まると、参加者は下値は限定的とみて「強気」な姿勢を維持。明日に英中銀(BOE) 政策金利の発表を控えているなか、本日の英経済指標では、ネーションワイド住宅価格やマネーサプライM4などが発表される。仮に弱い内容になった場合は、英景気の鈍化が意識され利上げ期待感が一段と後退し下値試しの展開もあろうか。

豪ドル円「ブル」
豪準備銀行(RBA)理事会は政策金利を市場予想通り4.75%に据え置くことを決定。また、声明文では「適度に引き締め的な金融政策は妥当」との見解が示されたほか、経済状況とインフレ動向を注視する方針を付け加えたことで、利上げに対して含みのある内容であったことから、参加者も「強気」な姿勢を維持。しかし、昨日は原油や金といった商品相場の大幅な下落に伴って、大きくたまった豪ドルロングを解消する動きも観測されているほか、一本調子で上昇している反動から、新規の悪材料が出た場合は格好の売り場となる可能性も否定出来ないだろう。

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