欧州利上げ期待 VS 欧州債務問題
昨日のドル円だが、米長期信用格付け見通しを「安定的」→「ネガティブ」へと下方修正した前日の地合いが引き継がれ東京市場序盤は日通し安値となる82.318円まで下落したが、下値では本邦輸入企業とみられる買いに支えられて82.60円付近へと値を戻した。しかし、その後は日経平均、上海総合、NYダウ先物が軟調な値動きになるとリスク回避ムードの高まりによる円買いの流れが継続したことで、欧州市場中盤にかけて概ね82.45円付近で上値が重い展開が続いた。NY勢参加後は米国の3月建設許可件数が59.4万件と市場の予想(54.0万件)を上回ったほか、3月住宅着工件数も前月比7.2%増とプラスに転換し、先行指標の許可件数も11.2%増と高い伸びを示したことで82.760円まで上昇した。ただ、上昇後は上値の重さが確認されると流れは一転下向きとなり、米10年物国債利回りが一時3.344%と3月24日以来の低水準を付けたことで82.30円付近まで反落した。引けにかけて、好調な米企業決算を背景に買い戻しが入り小幅上昇する場面も見られたが、結局4営業日続落の82.568円で取引を終えている。
ユーロ円は、ギリシャの債務再編懸念を背景にリスク回避の円買いが優勢となったNY市場の地合いを引き継ぎ、寄り付き後117.084円まで軟化した。ただ、その後は前日の急落を背景に短期筋の投げ売りも一巡したとみられ、一段と下値を追う展開ともならず、東京市場では概ね117.50円付近で一進一退の値動きとなった。欧州勢参加後はシュタルクECB専務理事が「ECBの政策金利はまだ依然として非常に低い」との認識を示したほか、ウェリンク・オランダ中銀総裁が「ギリシャは債務再編なしで財政を回復させることが可能だろう」と発言した上、市場予想を上回ったドイツとユーロ圏の4月の製造業PMIがサポートとなり118円を示現するまで反発した。NY市場に移っても、ユーロショートカバーが優勢となったほか、ECBによる欧州高債務国の国債買い入れの噂がサポートとなり118.384円まで上昇して取引を終えている。
今日の展開
ドル円は、米財政赤字の先行き懸念から米債格付け見通しを「ネガティブ」としたことが引き続き材料視されれば、もう一段ドル安を強いられる可能性があるが、米債売りは米金利上昇につながるため、一方的な下落材料とはなりにくいだろう。また、G20の共同声明で日本への連帯と支援を打ち出し、協調介入への警戒感もあることから円を大きく買い進めることは困難となるため、現時点では中立スタンスで様子をみるのが賢明とも思える。ただ、チャートを見ると明日にも5日移動平均線と25日移動平均線がデットクロスを形成しているように地合いが脆弱のなか、一目均衡表雲下限82.10円付近がサポートされるかがポイントとなろう。仮に同水準を割り込むと一目均衡表基準線がさしかかる81.00円付近まで大きなサポートが見当たらないだけにドル売りが加速する可能性には留意したい。また、チャネルシステムでトレンドをみても下値支持帯である83.50円付近を明確に下回っているほか、主要な移動平均線25日・75日・200日もことごとく下抜けている事も懸念される。
ユーロは独、ユーロ圏の製造業・サービス業PMIが共に予想外に改善したことを受け、改めてユーロ圏経済が良好であることを示し、ECBが年末までに複数回にわたって行うとされる利上げの正当性を裏付けたことはユーロを下支えするだろう。ただし、ギリシャが債務再編に追い込まれる可能性は高いとみられるほか、アイルランド・スペイン・ポルトガルのCDSスプレッドは拡大しているため、引き続き警戒しておく必要があるだろう。また、その他の要因では米主要企業の決算発表が予定されており、アップル、AT&T、ウェルズ・ファーゴ、クアルコム、アメリカン・エキスプレスなど決算結果次第で株式市場のセンチメントが大きく変わることも考えられるため、NY市場ではリスク許容度の変化に注視しておきたい。
[今日の予想レンジ]
ドル ・円 82.00-83.50
ユーロ・円 117.00-119.60
ポンド・円 133.00-135.50
【今日の主な経済指標】
10:30 AUD 四半期輸出物価指数
15:00 DEM 生産者物価指数
17:00 ZAR 消費者物価指数
17:30 GBP 英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨
20:00 ZAR 小売売上高
20:00 USD MBA住宅ローン申請指数
23:00 USD 中古住宅販売件数
≪2011年4月19日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ブル」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
懸念された米住宅関連指標を無難にこなしたほか、82円台は押し目を買いの
チャンスと見る参加者が多く「ブル」となっている。住宅着工着工件数前月
比7.2%増、着工件数が許可件数もは前月比11.2%増と改善し、雇用と同様
に懸念されている住宅市場で今回の内容は評価はできよう。ただし、住宅は
供給過剰の状態が続いており、建設の増加が必ずしも住宅市場の回復を示唆
していないとみられる。本日も3月中古住宅販売件数や、2月住宅価格指数が
発表されるが、こうした住宅関連指標を再確認するまでは、好感するのは時
期尚早なのかも知れない。
ポンド円「ブル」
シカゴ・オプション市場(COBE)でS&P500種株価指数オプションの値動きに
基づいて算出される恐怖指数は15ポイント台まで低下し、リスク許容度の改
善が見受けられたほか、前日の欧州通貨売りの調整もあって「ブル」となっ
ている。英中銀は利上げを急がないスタンスとみられるなか、本日17:30に4
月6・7日開催分の英中銀金融政策委員会議事録が公表される。利上げ支持で
あるウィール委員、デール委員、センタンス委員の3名以外にタカ派の委員
が現れればポジティブサプライズとなるものの、予想通り上記3名に変化が
ない場合は、ダウンサイドリスクが高くなりそうだ。
豪ドル円「ブル」
豪準備銀行の金融政策会合で5ヶ月連続の4.75%に据え置きとする議事録が公
表され、内容は「政策スタンスは適切」とし、自然災害の影響で消費者物価
(CPI)は上昇するもGDPは縮小を見込んでおり、現段階では状況を注視する
ことにとどめたことから豪利上げ観測は後退した。ただ、原油や史上最高値
を更新した金など商品相場の上昇を背景に豪ドルが物色される地合いに変化
はなく「強気」スタンスは維持されている。今後の展開だが、利上げ期待の
後退でセンチメントはやや悪化しているほか、週末のグッドフライデーを前
に調整が入りやすい展開になると思われる。下値の目処として3月17日安値
73.973円から4月11日高値90.024円の23.6%押しの86.236円付近がポイントと
なるが、仮にブレイクするようなことがあれば86円割れも視野に入ってこよ
うか。
ユーロ円は、ギリシャの債務再編懸念を背景にリスク回避の円買いが優勢となったNY市場の地合いを引き継ぎ、寄り付き後117.084円まで軟化した。ただ、その後は前日の急落を背景に短期筋の投げ売りも一巡したとみられ、一段と下値を追う展開ともならず、東京市場では概ね117.50円付近で一進一退の値動きとなった。欧州勢参加後はシュタルクECB専務理事が「ECBの政策金利はまだ依然として非常に低い」との認識を示したほか、ウェリンク・オランダ中銀総裁が「ギリシャは債務再編なしで財政を回復させることが可能だろう」と発言した上、市場予想を上回ったドイツとユーロ圏の4月の製造業PMIがサポートとなり118円を示現するまで反発した。NY市場に移っても、ユーロショートカバーが優勢となったほか、ECBによる欧州高債務国の国債買い入れの噂がサポートとなり118.384円まで上昇して取引を終えている。
今日の展開
ドル円は、米財政赤字の先行き懸念から米債格付け見通しを「ネガティブ」としたことが引き続き材料視されれば、もう一段ドル安を強いられる可能性があるが、米債売りは米金利上昇につながるため、一方的な下落材料とはなりにくいだろう。また、G20の共同声明で日本への連帯と支援を打ち出し、協調介入への警戒感もあることから円を大きく買い進めることは困難となるため、現時点では中立スタンスで様子をみるのが賢明とも思える。ただ、チャートを見ると明日にも5日移動平均線と25日移動平均線がデットクロスを形成しているように地合いが脆弱のなか、一目均衡表雲下限82.10円付近がサポートされるかがポイントとなろう。仮に同水準を割り込むと一目均衡表基準線がさしかかる81.00円付近まで大きなサポートが見当たらないだけにドル売りが加速する可能性には留意したい。また、チャネルシステムでトレンドをみても下値支持帯である83.50円付近を明確に下回っているほか、主要な移動平均線25日・75日・200日もことごとく下抜けている事も懸念される。
ユーロは独、ユーロ圏の製造業・サービス業PMIが共に予想外に改善したことを受け、改めてユーロ圏経済が良好であることを示し、ECBが年末までに複数回にわたって行うとされる利上げの正当性を裏付けたことはユーロを下支えするだろう。ただし、ギリシャが債務再編に追い込まれる可能性は高いとみられるほか、アイルランド・スペイン・ポルトガルのCDSスプレッドは拡大しているため、引き続き警戒しておく必要があるだろう。また、その他の要因では米主要企業の決算発表が予定されており、アップル、AT&T、ウェルズ・ファーゴ、クアルコム、アメリカン・エキスプレスなど決算結果次第で株式市場のセンチメントが大きく変わることも考えられるため、NY市場ではリスク許容度の変化に注視しておきたい。
[今日の予想レンジ]
ドル ・円 82.00-83.50
ユーロ・円 117.00-119.60
ポンド・円 133.00-135.50
【今日の主な経済指標】
10:30 AUD 四半期輸出物価指数
15:00 DEM 生産者物価指数
17:00 ZAR 消費者物価指数
17:30 GBP 英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨
20:00 ZAR 小売売上高
20:00 USD MBA住宅ローン申請指数
23:00 USD 中古住宅販売件数
≪2011年4月19日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ブル」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
懸念された米住宅関連指標を無難にこなしたほか、82円台は押し目を買いの
チャンスと見る参加者が多く「ブル」となっている。住宅着工着工件数前月
比7.2%増、着工件数が許可件数もは前月比11.2%増と改善し、雇用と同様
に懸念されている住宅市場で今回の内容は評価はできよう。ただし、住宅は
供給過剰の状態が続いており、建設の増加が必ずしも住宅市場の回復を示唆
していないとみられる。本日も3月中古住宅販売件数や、2月住宅価格指数が
発表されるが、こうした住宅関連指標を再確認するまでは、好感するのは時
期尚早なのかも知れない。
ポンド円「ブル」
シカゴ・オプション市場(COBE)でS&P500種株価指数オプションの値動きに
基づいて算出される恐怖指数は15ポイント台まで低下し、リスク許容度の改
善が見受けられたほか、前日の欧州通貨売りの調整もあって「ブル」となっ
ている。英中銀は利上げを急がないスタンスとみられるなか、本日17:30に4
月6・7日開催分の英中銀金融政策委員会議事録が公表される。利上げ支持で
あるウィール委員、デール委員、センタンス委員の3名以外にタカ派の委員
が現れればポジティブサプライズとなるものの、予想通り上記3名に変化が
ない場合は、ダウンサイドリスクが高くなりそうだ。
豪ドル円「ブル」
豪準備銀行の金融政策会合で5ヶ月連続の4.75%に据え置きとする議事録が公
表され、内容は「政策スタンスは適切」とし、自然災害の影響で消費者物価
(CPI)は上昇するもGDPは縮小を見込んでおり、現段階では状況を注視する
ことにとどめたことから豪利上げ観測は後退した。ただ、原油や史上最高値
を更新した金など商品相場の上昇を背景に豪ドルが物色される地合いに変化
はなく「強気」スタンスは維持されている。今後の展開だが、利上げ期待の
後退でセンチメントはやや悪化しているほか、週末のグッドフライデーを前
に調整が入りやすい展開になると思われる。下値の目処として3月17日安値
73.973円から4月11日高値90.024円の23.6%押しの86.236円付近がポイントと
なるが、仮にブレイクするようなことがあれば86円割れも視野に入ってこよ
うか。